2015年の夏に思うこと

公開日: : お知らせ, コラム

 小学校中学年の頃、自分の住んでいる地域の歴史について、誰かにインタビューをするようにという宿題が出た。母方の父母が隣家に暮らしていたので、祖父に話を聞きに行ったのだが、話をしたのは祖母。それも延々数時間。もとは紙1枚にまとめればよかったものが、私だけ数枚に及んだ覚えがある。

そんなに難しい話ではなかったと思うのだが、昭和一桁台に九州から東京に出てきて、それからずっと、その地に住んでいた祖母にとって時代の変化と共に移りゆく様の激しさはすさまじかったのだと思う。子供だから難しくてわからないと思ったのか、語りたくなかったのかは今となってはわからないが、話の大半が、東京に出てきたころの祖母の若い頃の話か、東京オリンピック前後の街の変化についてが、ほとんど。大人になってからも話題は変わらず、思い出したようにいつも同じ話していた。b983c7bebb04272c1a160bf596e9e782_m

人それぞれ、思い出の時や語りたいこと、語れる時があるのだと思うが、祖母にとっては、若かりし頃と東京オリンピックの頃が孫に語れることだったのだろう。

 

当たり前のことだが誰にでも生きてきた時代と共に歴史がある。きっと時には物語よりもロマンチックで、時には語りたくないような悲劇もあっただろう。

突然、年老いて今そこに存在しているわけではないのだ。今を生きていると、今だけがすべてのように思ってしまう事もあるけれど。私たちと同じではない時代も生きてきているのだ。

 

仕事でかかわった多くの高齢者の方から、恩師の言葉から、祖父母の話の中から、それぞれが過ごしてきた思いを話していたのに、ゆっくり聞けなかったり、深く聞かなかったり、何時ものことと済ませてしまったこともあったと思う。

あの時にもう少しゆっくり話を聞いていれば、深く知ることができたのに、聞いておかなければならないことがあったかもしれないのにと、後悔していることもある。

 

まだ身近な方に聞くチャンスがあるのなら、ぜひ、聞いておいてほしい。その人も伝えたいこと、今だからこそ語れるようになったこともあると思う。そしてその機会は多くはない。病気になって記憶が薄れてしまう事も、言葉を上手く伝えられないこともあるのだから。

 

戦後70年の今年、戦争を体験された方々が少なくなってきている。語れなかったことを語るべき時が来たと話している様子をニュースで見て、私が関わった方たちも同じ時代を生きてきたのだと、語りたかった思いがあったのかもしれないと、改めて思った。

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